こんにちは、慎太郎(@shintaro_163cm)です。
ジャズは聴くのも演奏するのも好きで、よく通勤のおともにしています。
好きなジャズのアーティストはフランク・シナトラ、ジュリー・ロンドン、マイルス・デイヴィス、ビル・エヴァンス・・・と数えきれないぐらいいます。
ですが、唯一謎と思っている人物がいました。今回の主役のエラ・フィッツジェラルドです。
何と言いますか、一言で言うと凄すぎて分かりません。
周りの先輩方は「エラは素晴らしい」「エラは史上最高のシンガーだ」と言っていたので聴いてみるのですが、マジでわからん。
僕の耳が腐ってるのかな?ミュージシャン失格かな?とか考えてしまいます。
そこで恥を忍んで大先輩に「エラの凄さが分かんないので分かる方法教えてください」と率直に尋ねました。
そうしたら「ライブ映像見ると分かるよ。つーか凄すぎて分からんのは当たり前」
と言われてちょっと安心。
ということで早速購入。
中古とはいえ送料込みで1,000円未満ってどゆこと?という疑問は置いといて早速見ました。
結論から言うとめちゃめちゃ良かったから3周見ました。
というわけでこの喜びを勝手に共有します。
目次
参加ミュージシャン
エラ・フィッツジェラルド(ヴォーカル)
ドン・アブニー(ピアノ)
レイ・ブラウン(ベース)
ジョー・ジョーンズ(ドラム)
ハーブ・エリス(ギター)
ロイ・エルドリッジ(トランペット)
オスカー・ピーターソン(ピアノ)
収録:1957年
そうそうたるメンツです。全員大ボスです。
エラはベースのレイ・ブラウンと結婚し、1952年に離婚しているようです。それでも一緒に演奏するってそういう事なんでしょうね。
それでは曲についての所感をだらだら語っていきます。
楽曲
1.エンジェル・アイズ
ずっしりとしたバラードから幕を開けます。
ピアノと歌がメインになっています。
こういったバラードはシンガーの腕が試されますが、完全に会場を自分の支配下に置いている様は、さすがというか恐ろしいというか。
いきなり彼女のカリスマ性を目の当たりにします。
2.バードランドの子守歌
エラと言えばこれですね。色々な方が歌っているので有名曲です。
先程とは一転、軽快なナンバーです。
聞いているだけで笑顔になりますね。
フェイクを織り交ぜながら歌っていますが、決して崩れず安定しています。
ここまで安定されると、ドラマーとして嫉妬してしまいます。
3.ラヴ・フォー・セール
少し大人しめなかわいらしい曲です。
こういう心にジーンとくる歌い方も良いですね。ずっと聞いていたくなります。
ベースのレイ・ブラウンが曲の終わり掛けに指揮を執っています。
何気ないですが、ミュージシャン視点で見ると「なるほど、そうやって終わるのか」となるワンシーンです。
4.テンダリー
数あるバラードの中でも特に好きな曲です。
エラが歌うと子守歌のよう。
スローな曲が続いても飽きずに聞けます。
5.パリの四月(エイプリル・イン・パリ)
カウント・ベイシー楽団が演奏していることで有名な曲です。
エラが何気なく指パッチンでリズムを取っていますが、その音やタイミングが気持ちいいです。めちゃめちゃスウィングしています。何その指。楽器?
たまに映るドラムのジョー・ジョーンズの笑顔が眩しいです。素敵オジサマ。
後半でエラのスキャット(メロディを歌詞を付けずにドゥビドゥバとか言うやつ)が聞けるのですが、これまた「楽器やないか・・・」と脱帽。
6.ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス
曲の導入がファンシーです。ディズニーに合いそう。
ですがすぐにテンポアップしてガンガンスウィングします。
不思議な事に心の奥に歌声がスッと入ってきます。
説明できないのですが、これがエラがすばらしいと言われる理由かな、と感じます。
7.ロール・エム・ビート
更にテンポアップ。どんどん歯止めが利かなくなってきます。
エラはブルースを歌わせたら一級品と言われていますが、まさに全開です。
曲の魅力と彼女の凄さがガンガン伝わってきます。
バンドと歌が一体になったような感覚で耳が幸せ。
8.捧ぐるのは愛のみ
ついに彼女が遊びだします。今までしっかり歌っていたかと思うと、いきなり声マネをし始めます。ジャズの父と言われるルイ・アームストロング(愛称サッチモ)のだみ声を再現してしまいます。
エラとサッチモはよくデュエットしているので、仲が良かったから出来ることですね。
これに気付いた観客は大喜びで歓声を上げます。
ジャズは高尚なものではなく、エンターテインメントだと実感する瞬間ですね。
9.スウィングしなけりゃ意味がない
ピアノがオスカー・ピーターソンに交代、トランペットのロイ・エルドリッジが加わり一気に華やかになります。
エラのスキャットと各楽器のソロが展開され、熱い演奏が続きます。そういえばこの曲以外楽器のソロはほとんど無かったですね。
終盤でエラにバトンタッチ、スキャットで楽器陣をガンガン煽り散らかしてます。
演奏が終わると、オスカー・ピーターソンと仲良く手をつないで映像は終わりました。
エラの凄さ
この作品は彼女が40歳の時のものですが、大人の落ち着きと言いますか、抜群の安定感を感じます。
所感でも書きましたが、彼女の歌はスッと心に入ってきます。
全身を歌にゆだねて包み込まれるような安心感。これが凄さの正体でしょうか。
映像を見なければ分かりませんでしたが、体型の問題でしょうが貫禄があります。
これもカリスマ性を出すことに一役買っているかもしれませんね。
これが瘦せこけている人だと華を感じなくなるでしょう。
もうひとつ驚いたのは、バンドを完全に従えていたことです。
シンガーたるもの、ステージのセンターで堂々としているのは当然ですが、堂々とし過ぎてて驚きです。
冒頭でも書きましたが、参加ミュージシャンはとんでもないメンバーです。超豪華。
シンガーがバックに負けてもおかしくないぐらいの名手の集まり。
それでもエラが勝ってしまう。
それはカリスマ性だったりシンガーとしての素質が関係しているのでしょう。
これはCDを聞くだけでは分からない嬉しい発見でした。
さいごに
このDVDを見た後にすぐさまエラの他の音源を聞きましたが、歌っている風景が目に浮かび、より鮮明に歌が聞こえるようになりました。
映像を見るというYouTubeでもできることを、なんで今までやらなかったんだと後悔しています。
それぐらい衝撃でした。
ひとまず今後も謎なアーティストが居たら映像を見ることを教訓にします。
それは置いといて、今回紹介したDVDはモノクロ映像で少し見づらいところがありました。
ですが、それが気にならなくなるぐらいの素晴らしい内容だったので、買って正解でした。
もし気になられたら購入して良さを語り合いましょう。
読んでいただきありがとうございました。